野球狂の詩


野球狂の詩 (13)講談社漫画文庫
ジャンルコミック
著者・制作者水島新司
発売・販売元講談社
発売・発表年72年(水原勇気編開始は75年)
発売形態・巻数などKCデラックス愛蔵版、漫画文庫版などいろいろ
関連作品実写映画、TVアニメ、実写ドラマなど
分類プロ野球、規約突破、魔球、サウスポー

今更説明不要の、野球漫画の神様・水島新司の傑作。
齢50を越えてなお現役投手の岩田鉄五郎を筆頭に、野球があれば他に何もいらない、そんな野球狂たちが集うチーム・東京メッツの活躍を描いた作品です。前半はメッツに集う野球狂たちそれぞれのエピソードを描く1話完結の連作短編ですが、後半は女性選手・水原勇気を中心としたストーリーが展開します。
東京メッツがドラフト1位指名した選手・水原勇気はなんと女性選手だった! プロ野球機構は協約により勇気のプロ入りを認めようとしなかったが、オープン戦での力投に心を動かされ特例として勇気のプロ入りを認めるのだった。
晴れてメッツの一員なった勇気だったがプロとしてやっていくには実力不足であった。彼女は岩田鉄五郎との特訓の末に魔球・ドリームボールを編み出す。
鉄五郎とのバッテリーで1球リリーフを続ける勇気。なかなか魔球を投げない勇気に誰もがドリームボールの存在を疑い出す中、ただひとりその実在を信じ、ドリームボール粉砕に執念を燃やす男がいた。それはかつて2軍で勇気を鍛え、ドリームボール開発を目指しながらも志半ばで広島東洋カープへ移籍した武藤兵吉であった……。

女子野球ものといえば未だにこの作品を挙げる人も多い(というかこれしか知らない人も多い)名作です。
今から約30年前、野球は男性のものという意識が今と比べ物にならない程強かった時代に女性選手をプロ入りさせるという物語を作り出し、しかも荒唐無稽にせずにリアルな野球ドラマとして描いた水島新司はさすがといえるでしょう。
可憐な女性選手が男相手に活躍するというストーリーが受け、2回にわたる実写映像化、テレビアニメ化も成されています。
今となっては古臭い面もありますが、元祖・女子野球作品と言える名作ですので、未読の方は是非一読を。

なお、勇気や鉄五郎は『ストッパー』『大甲子園』など他の水島作品にも多く登場しています。
また、二十数年後のメッツを描いた続編『野球狂の詩 平成版』『新・野球狂の詩』も近年発表されています。


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