水木一郎 24時間1000曲ライブ
ライブレポート


『アニメソングの帝王』と呼ばれ、持ち歌はアニメ・特撮ソングを中心に1000曲以上。約30年の間、日本のアニメソングを支え続けてきた我らの"アニキ"水木一郎。
そのアニキが前人未到の快挙(暴挙?)24時間1000曲ライブを決行した。


8月30日17時30分。東京駅発の直通バスを利用して1000曲ライブの会場、河口湖ステラシアターに到着した。
会場はすでに参加者が大勢集まり、開場を待ち構えていた。徹夜組もかなりいたそうだが、大丈夫なのかしらんと心配する。
会場前には食べ物の出店の他にアニキグッズも販売していた。とりあえず新曲『GOLDEN RULE』とアニキ人形(2個)を購入。ちなみにアニキ人形はオタケばない。残念。

18時。開場。すでに長蛇の列の最後尾についたが、程なく入場できる。そういえば私の後ろに母子連れがいたのだが、あの子は大丈夫だったんだろうか?
並んだのが後ろだったので席は3階席。まあ仕方ない。
会場にはぞくぞくと参加者が集まり3000人収容できる会場のほとんどが埋まる。
19時30分。お馴染ショッカーO野さんと『うたえモン』でいつもコスプレを披露している宇田アナが登場。この二人が今回の司会である。
河口湖町の町長さんが挨拶。24時間つきあうらしい。やるな、町長。
下のアリーナ席を見れば、スパロボライブでお馴染のスーパーロボット軍団が! 彼ら、24時間ももつのか。おい。

20時。ついに開演。巻き起こるアニキコールの中、颯爽とアニキが登場! オープニングはもちろん『マジンガーZ』だ。
そして『ハカイダーの歌』や『地獄のズバット』などの人気曲を一気に歌う。
どうでもいいが、3階席はイマイチノリが悪いような気がする。『コンバトラーVのテーマ』の振りとかが合ってなかったりするんだよなあ。やっぱライブはアリーナだな。次回は徹夜で並んじゃる。

アニキはどんどん行く。お馴染のアニソンを次々と歌う。
『懐かしくってヒーロー』で20曲くらい曲数を稼ぐのはどうかと思うが好きな曲なので許可。
途中、『うたエモン』から松本明子が応援に駆けつける。

アップルパイ&カインズの歌の後は「キャプテンハーロックの夕べ」。ライブや『うたエモン』でも着用していた黒いマントで登場。ハーロックシリーズの名曲を歌い上げる。
途中オカリナの生演奏も。
アニキといえばOTAKEBIで有名だがバラード系の歌にこそアニキの真価があるという専門家も少なくない。

続いては「アニメ連チャンコーナー2」。『大鉄人ワンセブン』の曲を中心に歌う。
途中、あの山本一郎も登場。例によって怪人物ぶりを発揮。歌うのはもちろん『ゴッドマン』と『Yマン』である。

アップルパイのアニソンメドレーに続いて、次のコーナーは「星空のスタンダードポップス」(あいにくの曇り空だったが)。会場の空気が突如ムーディに変わる。こういうマトモな歌(というのも失礼だが)も歌ってたんですね、アニキ。ブランデーでも片手に聴きたくなるような雰囲気だ(場内は禁酒)。
アニキの歌う『星に願いを』なんてなかなか聴けないぞ。これだけでも得した気分。

先程の大人の雰囲気からうって変わって「世界のあそびうた」のコーナーとなる。『アブラハムの子』などの童謡系の曲を身ぶりや踊りを交えながら歌う。先程までポップスをカッコ良く歌っていた人とは思えないが、元うたのおにいさん面目躍如といったところだろう。

次のコーナーはアニキの出ていたラジオ『スーパーロボットスピリッツ』でもおなじみのおたさささんといふくべさん(ちなみにいふくべさんは今回のライブの構成も担当している)を交えて「快進撃ラジオ・うたえモン」のコーナーである。
3人でソファーに座りながら曲の量産体制に入る。新旧のアニソン・特ソン、こどもうたから奥さんとのデュエット曲、水木一郎ボーカルスクールの歌などバリエーション豊富に一気に146曲をこのコーナーで稼いだ。

この途中、日付が変わり、『今日の日はさようなら』を会場全体で合唱。もっともライブはまだ始まったばかりだ。

時間は25時を過ぎ、「おかあさんといっしょ」のコーナーである。こんな夜中にこどもうたを歌いまくるってだけでも特筆すべきライブだ。

「快進撃ラジオうたえモン2」ではアニキのデビュー曲『君に捧げる僕の歌』を皮切りに、スポーツの応援歌、ラジオ『スーパーロボットスピリッツ』のコーナーでアニキのつくった曲(『防衛隊員ヤマカゲくんのうた』とか)、さらには『ダンバイン』『ゴッドマーズ』『ブライガー』『ザブングル』『イッパツマン』など'80代アニソンのカバー曲などのレアな曲を歌う。『砂の十字架』なんてフルコーラスでじっくり聴いてみたいものだ。

30日最後のコーナーは「アニメ特撮スペシャルメドレー」。アニキの勢いはとどまることを知らない。
が、私はさすがにへろへろで睡魔はもちろんのこと屋外のためムチャクチャ寒い。「ねるなー、寝たら死ぬぞー」などと自分を奮い起たせる。

そして30日ラストの曲は名曲『見上げてごらん夜空の星を』。空を見上げるとさっきまでの曇天が嘘のように空には星空が広がっていた。これもアニキのパワーか。

アニキはしばらく休憩となり、ステージでは『うたえモン』の宇田アナ、ガレッジセール、ビビるがトークを始める。自分の限界を悟った私は室内に引っ込み仮眠をとることにする。
寝てたせいでアニキのための三千羽鶴を折れなかったのは痛恨だなあ。

アニキの歌声で目が覚める。2時間半ほど眠ったらしい。
会場に戻るとステージではもちろんアニキが熱唱していた。
天気も快晴、河口湖のさわやかな朝の光の中、500曲をすでに歌い終えていた。

時間は7時を回り、徹夜でアニキに付き合ったおたさささんは仕事のために退場。
再びおかあさんといっしょのコーナーで『小さい秋みつけた』や『もみじ』など秋の曲を歌う。

時刻は8時。曲数も600曲を越えたが、まだまだアニキは元気。「朝から気合いソングコーナーでは『OHA OHA FIGHT』や『221B戦記』を歌う。

続いて「ヴァージョン違いコーナー」は『マジンガーZ』の英語版やテクノ版、『おはスタ』で歌った妙な替え歌などを歌う。

「偽・ラジオうたえモンコーナー」では『ラーメンの歌』などを歌唱。作曲についてなど語った。

「水木一郎歌手生活原点コーナー」ではデビューした頃の歌謡曲を20曲ほど歌う。

時計は10時を回り、歌った曲は660曲を数えていた。
スパロボのボーカルアルバムでも歌っていたSachi&Naoの歌のあとは「復活!アニソンバンドコーナー」となる。カインズの演奏で『ぼくらのバロム1』などおなじみの曲を歌う。

続いて「ウルトラマン&宇宙ものコーナー」。ウルトラシリーズの歌や『さすらいの星ジミーオリオン』などを歌唱。

次は「アニソン&おかあさんといっしょコーナー」。疲れも見せず突っ走ってきたアニキだったがここで突然のアクシデント。足をつってしまい、腕も動かなくなりギターを弾くことも出来ない。
しかし、アニキは痛みにこらえ、ソファーに横たわりながらも必死に歌い続ける。
そして700曲を越えた頃、『ほえろ!ボイスラッガー』を痛みをこらえて立ち上がって歌う姿はまさしくボイスラッガーゴールドだった。「シュババババーン!!」
その後もアニキは歌い続け12時前。約750曲を歌いきり、ステージ脇に下がった。

この日のステラシアターは快晴。日が高くなると日差しは容赦無く照りつけてくる。ステージ上は平気だが、観客席はシャレにならない状況になってくる。
何度目かの水分補給のため、ジュースを買いに行こうとした私だったが、財布の中身を見て愕然とした。
70円。
帰りの交通手段は大丈夫だが、残りの半日のライブをどうしようかと焦るが、水道水に頼ることにする。
ステラシアターの水は冷たくてとても美味しかった。

アニキが下がっている間、応援に駆けつけたのはスパロボライブでもおなじみ、遠藤正明とMIO。「ミニスパロボライブ」と題して、遠藤さんが『勇者王誕生』(どーでもいーが遠藤さんは歌詞をいつになったらちゃんと覚えるんだろう)と『戦士よ起ち上がれ』を、MIOが『HEY YOU!』(感激!)と『ダンバインとぶ』を熱唱。

12時50分。アニキ登場。
「ロックンロールメドレー」を歌う。
本当にいろんな曲を歌っている人だ。

「歌手生活原点曲再び」では再び歌謡曲を。

灼熱の日差しが観客を襲う中、「恐怖のロボコンメドレー」のコーナーに。
炎天下の下、ロボコンの歌を十数曲連続で聴かされれば意識も朦朧としてくる。

続いて「1000曲ライブの思い出コーナー」。人気曲を再び歌う。
しょーもない(失礼)こどもうたをひたすら聴かされるよりは名曲を何度も聴く方がいい。
ついに800曲を突破。

「快進撃ラジオ・うたえモン4」はアニキのCMソングのコーナー。ほんとに仕事を選ばないというか、懐の広い人だ。
このコーナー、同じ曲のバージョン違いを何度も流して、どこが違うかといえば「尺が違う」とか言うのががちょっとずるい。。アニキも少々不満げ。
このコーナーのラストには故・秀夕樹さんを偲んで『この木なんの木』を合唱した。

時計は15時を回る。「こどもうたアンコールコーナー」ではこどもうたを数曲。

いよいよラストスパート。「もう一度聴きたい人気曲コーナー」では人気のある曲を歌い続ける。
途中、おやつ休憩をはさんだが、ひたすら歌い続け、5時前にコーナーが終わったときには972曲を数えていた。

19時からの生放送のためにアニキが引っ込んだ後には『うたえモン』でおなじみのメンバーが次々と登場。Z−1を始め、松本梨香さん、ドリーミング、井上あずみさんが次々と歌い、会場はうたえモンスペシャルライブと化した。
そして、勿論アニキの盟友・影山ヒロノブさんと「もう肉親みたいなもの」というミッチこと堀江美都子さんも登場。影山さんが『聖闘士神話』と『ちゃらへっちゃら』をミッチが『ひみつのアッコちゃん』『花の子ルンルン』『キャンディキャンディ』を披露してくれる。

18時30分。生放送を前にアニキとミッチが登場。デュエットコーナーである。
歌詞を忘れてしまったというアニキに「大丈夫。私が全部覚えてるから」といつになく優しいミッチ。『スーパーヒーロー作戦』『忍者キャプター』などのデュエット曲を数曲熱唱。
ミッチに続いて登場は勿論影山さん。スパロボライブでおなじみの『熱風!疾風!サイバスター』『鋼の魂』を歌う。

そして生放送直前。新曲の『Golden Rule 君はまだ負けてない』を披露。いかにもアルフィーという曲だが、アニキテイストは勿論健在。
この時点で979曲。

そしてついに「ファイナルステージ」、『うたえモン』生放送が始まった。
もう何度目かわからないアニキコールが巻き起こる中、会場の観客の熱狂も最高潮に達している。 そして、アニキが最後の出撃! 今までアニキのライブには何度も行ったが、この時の感動は今までで最高だった。もう体力も喉もボロボロ、明らかに声も出ていないが、全てを魂でカバーし歌い続ける。
いつもなら興を削がれる『うたえモン』の今田さんたちのトークも気にはならない。
そして、背後に1/2サイズのマジンガーZを背負い、1000曲目の『おれはグレートマジンガー』を歌い終えた。
1000曲達成!
そして締めくくるのはやはりこの曲。1001曲目に『マジンガーZ』を歌い、ライブを締めくくった。

ライブ終了後。ステージには出演者が集まり、感動と興奮を分かち合っていた。
影山さんが「アニキは俺の誇りだ!」と叫び、ミッチは大泣きしながらやはり泣いているアニキと抱き合い「水木さんが途中で倒れたりしたら私がかわりに歌おうと思って歌詞を覚えてたの」と告白。一番アニキを心配していたのはミッチなんだなと思い、じーんとくる。

そしていつまでもアニキコールの鳴り止まない会場を私は後にした。
アニキ、伝説をありがとう。


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